すると、彼女はふわっと笑った。

「何だ、そんなこと。そのまんまの意味よ」

「いや、そのまんまの意味って……彼が私のことを気に入ってくれているようには見えないんですけど」

そう……オリオンの私に対する態度からは、どうも気に入っているという言葉は結びつかなかった。
しかし、アルテミスは碧い瞳の目をニーっと横に細めた。

「あいつ……オリオンは、猛獣よ」

「も……猛獣!?」

その言葉に私は目を丸くした。

「そう。触れたら噛み付く。そして……バラバラにする。本来なら、あいつに会った時点であなたもただじゃあすまないわよ」

「ただじゃあすまないって……」

私はその言葉に震え上がった。
するとアルテミスは、少し顔を曇らせた。

「オリオンはね、自分以外を信じていないの。昔……ちょっと酷い目に合って、それからなんだけどね。だから、自分に近づく奴には絶対に心を許さないし、追い払うか……最悪、殺してしまうこともあるの。でもね、あなたのことは何も言わずに側に置いて、一緒に暮らしているでしょ?」

「それは……」

私は呟いて……思い出した。初めて会った時、狼達から助けてくれた時の、オリオンのあの瞳。まるで私を突き刺すように鋭いあの眼光は未だに忘れることができず、恐ろしくて。私はブルッと身震いをした。