「嘘に決まってるでしょ。それにしても……本当に心地いい。オリオンの背中って」

揺られるたんびに、私はその大きな背中が愛しくなった。
不思議だ。昨日はあんなに怖かった彼が、何だかとっても安心できて、愛しい存在になりつつある。

「今のうちに休んでおけ。戻ったら火を焚かねばならんし、忙しいぞ」

「えー、何だかオリオン、そればっか」

「当たり前だろう。生活していくためには必要なことだ」

「はい、は〜い」

全く……こいつは生活していくことしか頭にない。でも、それはきっと、この世界を生き抜いていくには必要なことで。

私もオリオンの住むこの世界で生きていけるだろうか……そんな不安はあったけれど。その時はただ、温かくて優しくて心地よい、オリオンの背中に身を任せていたのだった。