オリオンの大きな背中はまるで私を包み込むかのようで、すごく安心できた。

男達に襲われて……気付いたら、こんな見知らぬ世界に来てしまってて。
いつも、どこか震えていた。体は震えてなくっても……外は寒くなくっても、心は小刻みに震えていて怖くって。この手で触れるものは全て、冷たく感じた。

なのに、どうしてだろう?
オリオンのこの体温は、そんな私の心の氷をまるで溶かしてくれるかのようで。私の心を温かく包み込んでくれるかのようで。本当に、安心することができたんだ。


「ねぇ、オリオン」

私はその大きな背中を抱きしめながら話しかけた。

「ん? 何だ?」

私の心の傷とか、オリオンにおぶられることへの安心感とか……そんなことには当の彼は無頓着な様子で。
そんな彼に、私の顔は思わず綻んだ。


「ううん。ねぇ、このまま……寝てしまっていい?」

何だか、本当に眠くなってきて……私は思わず、そんなことを言った。

「何をたわけたことを言っているんだ。これから帰って、この魚を焼かなければならないんだぞ。寝ていいわけがないだろう」

オリオンは私の言葉に真面目に焦ってて。そんな彼に、私も思わず吹き出した。