「本当に、こんなもので魚が捕らえられるのか?」

弓の代わりに私お手製の釣竿を肩にかけながら……まだ怪訝そうなオリオンを見ると、私は思わず吹き出しそうになった。

「大丈夫よ。何しろ、私お手製の釣り道具なんだから」

まぁ……お手製と言っても力の必要な作業は全てオリオンがやってくれて、私がしたのは作り方を教えたり、糸を結んだり……とかくらいなんだけど。でも、昨日はあんなに厳しくて怖いイメージしかなかったけれど、素直に私の言う通りに釣り道具を作る彼は何だか可愛くて……気がつけばいつの間にか、私も彼と普通に会話ができるようになっていた。

夜は凍えるように寒かったこの世界も、日が照っている時間帯には気温も割と高くって……余程、昼夜の温度差が大きいらしい。羽織っているのは鹿の毛皮一枚だけなんだけれど、川に向かって歩いていると汗が滲んでくるほどだった。


「ほら、針に餌をつけて……川に入れたら、魚が食べに来るから。竿を上げて、釣り上げるの」

説明してもオリオンはまだ半信半疑な様子で……だから私も仕方なく、彼の隣で釣り糸を垂らした。

釣りなんてするの、何年ぶりだろう。
私の覚えている限りでは、幼い……小学校にも入っていないくらいの頃に、家族で行った旅行先の湖でして以来だ。