「動物を殺めずにどうやって生きていくのだ? 昨日、お前が食べた肉も鹿の肉なんだぞ」

それは、分かっている……分かっているんだけど。その時の私はどうしても……動物を殺しに行くことを受け入れることができなかった。

「でも……せめて、魚にはできないの?」

私は妥協策を提案した。
同じ命なのにどうかとは思うけれど……魚の方がまだ、殺すことを受け入れられた。

「魚? 川で泳いでいるあれか? あんなもの、どうやって捕らえるんだ? 水の中で自在に動き回っているものだ、捕らえられるわけがないだろう」

オリオンは怪訝な顔を浮かべて……私はそのことに驚いた。

「え、いや……魚、捕ったことないの? 釣る、とか……」

「釣る? それは、どうやるのだ?」

どうやら、この世界のオリオンは、私の世界での常識で知らないことも割とあるらしく……私は彼に、説明した。

水中を自在に泳ぐ魚は素手で捕まえようとしてもそうそう捕まえられるものではないけれど、糸を水中に垂らして『釣る』と、いとも容易く捕らえられること。釣りの道具は、弓にしているような棒を竿にして糸をつけ、動物の骨を磨いて針の代わりにしたら、どうにかこしらえられそうなこと。