この国では一度仕事を失えば、次の仕事にありつけるかどうかわからない。無職になるということは、金持ちでない限り死ねと言われているようなものだ。

あたしには三人の妹と二人の弟がいる。両親は早くに死んでしまった。あたしが稼がなければ、妹たちは死んでしまう。

困り果てていた時に、友達のミア・スプリンガーと再会した。学校を卒業して以来だ。

「あたし、仕事がなくなっちゃったんだ。いい仕事ない?このままじゃあたしたちは死んでしまう……」

ミアは酒場で働いていると前に聞いたことがあった。酒場で働かせてもらおう、そう思っていたあたしはミアの一言に絶望する。

「ごめん、実は私も仕事をクビになっちゃって……」

「そんな……」

ミアは申し訳なさそうにあたしから目をそらす。

「私の家、体の弱い妹がいて医療費がかかるのに……」

「そっか……」

みすぼらしい格好で話すあたしたちを、金持ちの同い年と見られる女たちが物珍しそうに見ながら通り過ぎていった。豪華なドレスを着て、フリルのついた日傘をさしている。