ハルトさんは、本当に不思議な人だ。あたしの名前を呼び、あたしを気遣い、あたしと関わろうとする。

「ハルトって、110番の名前を呼んで話したりするよな」

「あんな犯罪者のどこがいいの?」

そんな風に話しているのを聞き、傷ついたりもする。そんな風にハルトさんに言われてほしくない。でも、ハルトさんが話しかけてくれることが泣きたいほど嬉しくて、泣きたいほど悲しいんだ。

そんな日々を過ごしていたある日、あたしたちは全員会議室に集められた。

「人身売買、違法薬物の売買を行う組織、ジュグムのアジトに突撃することが決まった……」

隊長の声が重々しく響く。あたしたちはゴクリと唾を飲み込んだ。

ジュグムに入っているメンバー全員が、武術に優れている。そして、殺傷能力の高い武器をいくつも所持しているらしい。

また、ここにいる誰かが死ぬのだろうか。次はあたしの番かな。でもそうなれば少し嬉しいかもしれない。だって、そうすればミアたちのもとへ行ける。ハルトさんが悪く言われずに済む。