「ハルト・フリードリヒです!今日からお世話になります!」

翌日、ハルトさんはあたしたち特攻班のみんなの前で挨拶をした。

「ハルト・フリードリヒって、警察学校を首席で卒業したあの?」

「武術や変装、頭脳にも優れた捜査官だ。頼もしいな」

「やだ〜!身長高くてイケメン!!」

ヒソヒソとみんなハルトさんについて話している。確かに、そんなすごい人が入ってきてくれたことは心強い。

ハルトさんはみんなに囲まれていて、人気者だ。あたしとは世界が違う。彼は「善人」、あたしは「悪人」。

関われば、関わるほどお別れが辛いから……。あたしがいると迷惑だから……。名前を呼んでくれたことは嬉しかったけど、ハルトさんに特別な感情を抱いてはいけない。

あたしは目を閉じ、拳を握りしめた。



「ジーナ、おはよう」

翌日、あたしが職場へ向かうとハルトさんがあたしの肩を後ろから叩き、ニコッと笑う。

「おはようございます、警視殿」

あたしは深くお辞儀をする。彼はあたしと同い年だが、階級はうんと上だ。あたしはずっと巡査と決まっている。