毎晩、同じような夢を見る。何度誓っても、何度祈っても見る夢は同じ。最悪な惨憺たる夢。

今はもう隣にいない仲間と、超えられない夜を越えようと手をつないで歩いた日々の夢。

幸せな日々は、いつか来るお別れを育てて歩いているのだとこの場所に立たされて初めて知った。

今日も、泣きながら目を覚ます。



この国は恐ろしいほど貧富の差がある国だ。あたし、ジーナ・ゾエも貧しい人間の一人だった。……今までは。

貧しい人間は、職も何もかも失い罪を犯して生活をするしかない。裕福な人間から物を盗み、脅し、体を売り、銀行を襲い、力ずくで手に入れるしか生きる術がない。

立派とはいえないマンションの一室。上司から与えられた部屋だ。

深い緑の制服を着る。今日も行きたくない仕事へ行かなければならない。白い目で見られようが、この手を血で染めてしまおうが、生きるためなら仕方がないのだ。

軽い朝食をとり、部屋を出る。重い足を動かしながらあたしは職場へと向かった。