「ごめん、こんなことになって」
あのあと、おかみさんと、裏でシェフをしていたご主人に謝られ、お代はタダにしてもらった。かといってそのままテーブルで食べ続ける気にもなれず、早々に退却したので、結局ワインと前菜しか食べていない。
「また、ちゃんとごちそうするから……」
セピアは帰り道もエスコートしてくれようとしたが、私はそれを振り切って一人でずんずん前を歩いていた。
「ケイト、怒ってる?」
「当たり前でしょ! 水をかけられて、首まで絞められそうになったんだから!」
おかみさんがタオルを貸してくれたが、服にまで水が染み込んでしまって肌寒い。早く帰ってお風呂に入らないと、風邪を引いてしまいそうだ。
「ごめん……」
セピアが低い声でつぶやく。群青色に染まった石畳の上で、街灯に照らされた私たちの長い影が重なっている。心の距離はこんなに遠いのに。
はあ、と大きくため息をついて、足を止めた。
「あのさあ、セピアくん。さっきの子とのことは、セピアくんだけが悪いとは言わないけれど、彼女が勘違いするような態度をとったセピアくんに責任があると思うよ」
「……うん」
少し離れた場所で、セピアが白い息を吐く。近寄っていいのかどうか迷っている動きに、少し心が痛んだけれど、甘い顔はしてあげない。
あのあと、おかみさんと、裏でシェフをしていたご主人に謝られ、お代はタダにしてもらった。かといってそのままテーブルで食べ続ける気にもなれず、早々に退却したので、結局ワインと前菜しか食べていない。
「また、ちゃんとごちそうするから……」
セピアは帰り道もエスコートしてくれようとしたが、私はそれを振り切って一人でずんずん前を歩いていた。
「ケイト、怒ってる?」
「当たり前でしょ! 水をかけられて、首まで絞められそうになったんだから!」
おかみさんがタオルを貸してくれたが、服にまで水が染み込んでしまって肌寒い。早く帰ってお風呂に入らないと、風邪を引いてしまいそうだ。
「ごめん……」
セピアが低い声でつぶやく。群青色に染まった石畳の上で、街灯に照らされた私たちの長い影が重なっている。心の距離はこんなに遠いのに。
はあ、と大きくため息をついて、足を止めた。
「あのさあ、セピアくん。さっきの子とのことは、セピアくんだけが悪いとは言わないけれど、彼女が勘違いするような態度をとったセピアくんに責任があると思うよ」
「……うん」
少し離れた場所で、セピアが白い息を吐く。近寄っていいのかどうか迷っている動きに、少し心が痛んだけれど、甘い顔はしてあげない。



