ポンコツ女子、異世界でのんびり仕立屋はじめます

「調子に乗って頼みすぎちゃった。こんなに食べ切れるかな」

「ここは何を食べてもおいしいし、ふたりだから大丈夫だよ」

 最初にワインと前菜、サラダが運ばれてきたので、ふたりで乾杯する。

「う~ん。フルーティーでおいしい。これってけっこういいワインなんじゃないの?」

 ワインの銘柄はセピアがメニューを見ずに頼んでいたので、詳しいことはわからない。

「まあね。でもこのくらい奮発させてよ。やっとケイトを食事に誘えたんだし」

 照れくさそうなセピアの言葉に、思いがけず胸がきゅんと震えた。

 こんなに男性に大事にしてもらったのは、いつぶりだろう。そういえば告白をされたのだって、ものすごく久しぶりのことだった。元彼のときは、なんとなくの流れで付き合ってしまったから。

 あんな真剣に告白してもらったの、私の人生で初めてだ。しかもこんな美形の、年下の男の子に。

 そう改めて思うと、顔がかーっと火照ってきたのがわかった。

「あれ、ケイト、顔が赤いけど。もう酔っちゃった?」

「う、うん。お酒を飲むの久しぶりだったから」

 手でぱたぱた顔をあおぐ私を、セピアが心配そうな顔で見ている。

「え、そうなの? お水かノンアルコールの飲み物、頼む?」

「ううん、大丈夫」

 こんな状況、素面だったらとても心臓がもたない。早いところ本当に酔っぱらってしまったほうがいいだろう。

「そう……? でもちょうど店員さんが料理運んできてくれたし、ついでに……ッ!?」

 通路のほうを見ていたセピアの顔が、みるみるうちに血の気をなくしていく。

 何事だ?と思って横を向いた瞬間、どん、どん!と音を立てて、テーブルの上に注文したお肉が乱暴に置かれる。

 見上げると、若い女の店員が、私をすさまじい形相でにらんでいた。