ポンコツ女子、異世界でのんびり仕立屋はじめます

「その友人は、宝石職人なのかな?」

「いえ、ふつうのOL……ええと、事務員です」

「ケイトの世界では、職人じゃなくて装飾品が作れるの? どれだけ器用なのよ」

「クラレットだって、エリザベスさまのネックレスとイヤリングをアレンジしていたじゃない」

 ふわふわした羽をネックレスに取り付けている姿を、なんとも器用だなと感心して見ていたのだ。私だったら力を入れすぎて羽を引きちぎっていただろう。

「それは、そうだけど……。いちから作るのとはまた違うわよ。しかもこんな繊細そうな」

「確かに、普通はここまでうまくは作れないかな。友達はセンスもいいし、すごく練習していたからプロ並みだったけど」

 それを聞いたウォルが、がっかりした様子でイヤリングをテーブルに戻した。

「そうだね。私もこの『レジン』というものには興味があるけれど、作れる職人がいないかもしれないな」

「あ、だったら、私が作りますよ。材料さえあればですけど」

 手を上げて申し出たら、ふたりが同時に目を丸くした。

「ケイトがこれを? 本当に作れるの?」

「友達に何回か習ったことがあるの。ここまで完璧なものはできないかもしれないけれど、やるだけやってみてもいいんじゃないかなって。材料はこの世界でも調達できますか?」

「中に入れる花やビーズは問題ないとして……問題は樹脂だな。魔法種族に依頼すれば、透明度の高いものを精製してくれるかもしれない」

 なるほど、それなら大丈夫かもしれない。ただ問題はUVで固める装置がないことだ。

「でしたら、依頼する魔法種族に、太陽光にさらすと早く固まるように作ってもらうことはできますか?」

「これは太陽光で固めるのか。わかった、そのように伝えておくよ」

 ウォルは気軽に了承してくれる。

『魔法種族は気難しくて、高めの報酬がないと人間のために動いてくれない』というのは役人さんが言っていたことだけど……。ウォルほどの貴族なら、魔法種族が納得するくらいの報酬をポンと出せるのだろう。