「ケイトはどういう接客をしていたんだ? お客さまの反応は?」
「それは……」
私が黙ってしまうと、アッシュは席を立った。
「あの、すみません、うまく話せなくて……」
「怒っているわけじゃない。お茶を淹れ直してくるだけだ。冷めてしまっただろう」
「あ……」
すっかりぬるくなってしまったミントティーを口に運ぶ。苦みが増して、舌に残った。熱いお茶も冷たいお茶もおいしいのに、中途半端な温度のお茶はおいしくない。
なんだか今の私みたいだ。異世界にも染まりきれず、もとの世界の失敗をずっと引きずっている。クラレットのように完璧な女優にも、アッシュのような経営者思考にもなれない。ぬるくて、中途半端だ。
「待たせたな」
アッシュがティーポットとミルクポットをテーブルに置く。今度は紅茶を持ってきてくれたようだ。フリルテリア国の人は紅茶にミルクを入れて、砂糖は入れない。
「もとの世界での仕事のことは、あまり話したくないようだな」
「すみません……」
「謝らなくていい」
アッシュはため息をついて、眉間をもむように押さえた。
「……実は、クラレットから頼まれたんだ。ケイトが悩んでいるみたいだから、オーナーとして力になってやれと」
「クラレットが……?」
「君が時折、自信がないように振る舞っていることには気付いていた。お客さまと親しくなると、それ以上距離が近くならないように一線を引いていることも。それが間違っているとは言わないが、君の性格には合わない気がする」
そこまで見られていたのか、と驚いた。一線を引いていたのだって無意識で、自分では気付いていないことだったのに。
「俺は、君の能力を買って雇った。そして今も、君の仕事ぶりを評価している。なぜそんなに自信がない? 褒められると自分を卑下しようとする? 教えてくれないか。これは雇い主としての頼みだ」
アッシュのクールな眼差しに、懇願の色が混じっている。そんなふうに言われたら、そんなふうに見つめられたら、逃げも隠れもできなくなってしまう。
「それは……」
私が黙ってしまうと、アッシュは席を立った。
「あの、すみません、うまく話せなくて……」
「怒っているわけじゃない。お茶を淹れ直してくるだけだ。冷めてしまっただろう」
「あ……」
すっかりぬるくなってしまったミントティーを口に運ぶ。苦みが増して、舌に残った。熱いお茶も冷たいお茶もおいしいのに、中途半端な温度のお茶はおいしくない。
なんだか今の私みたいだ。異世界にも染まりきれず、もとの世界の失敗をずっと引きずっている。クラレットのように完璧な女優にも、アッシュのような経営者思考にもなれない。ぬるくて、中途半端だ。
「待たせたな」
アッシュがティーポットとミルクポットをテーブルに置く。今度は紅茶を持ってきてくれたようだ。フリルテリア国の人は紅茶にミルクを入れて、砂糖は入れない。
「もとの世界での仕事のことは、あまり話したくないようだな」
「すみません……」
「謝らなくていい」
アッシュはため息をついて、眉間をもむように押さえた。
「……実は、クラレットから頼まれたんだ。ケイトが悩んでいるみたいだから、オーナーとして力になってやれと」
「クラレットが……?」
「君が時折、自信がないように振る舞っていることには気付いていた。お客さまと親しくなると、それ以上距離が近くならないように一線を引いていることも。それが間違っているとは言わないが、君の性格には合わない気がする」
そこまで見られていたのか、と驚いた。一線を引いていたのだって無意識で、自分では気付いていないことだったのに。
「俺は、君の能力を買って雇った。そして今も、君の仕事ぶりを評価している。なぜそんなに自信がない? 褒められると自分を卑下しようとする? 教えてくれないか。これは雇い主としての頼みだ」
アッシュのクールな眼差しに、懇願の色が混じっている。そんなふうに言われたら、そんなふうに見つめられたら、逃げも隠れもできなくなってしまう。



