ポンコツ女子、異世界でのんびり仕立屋はじめます

 簡単な朝食を摂ったあと、掃除をするためにお店に降りて行ったら、アッシュがお茶を淹れていた。

「あれっ、アッシュさん、早いですね。おはようございます」

「ああ。少し君と話をしたいと思っていて。ミントティーは嫌いか?」

 よく見ると、カップを私のぶんも用意してくれている。

「いえ、好きです」

「そうか。ならソファに座って待っていてくれるか。掃除はあとでいいから」

「はい……」

 言われたとおりにソファに座って待つことにしたが、落ち着かない。オーナーであるアッシュから話があるだなんて、嫌な予感しかしない。

 まさか突然クビ、ということはないだろう。だったら他に可能性があるのは、減給、クレーム、家賃の取り立て……どれもあり得そうな気がしてしまう。

「待たせたな」

 アッシュがミントティーのカップを目の前に置いてくれる。気を遣ってくれたのか、向かいではなく横のソファの離れた場所に座ってくれた。

「ありがとうございます、私のぶんまで……」

「ついでだったからだ。冷めないうちに飲め」

「いただきます」

 アッシュが淹れてくれたお茶を飲むのははじめてだ。緊張しながら口をつけたそれは、意外なほどおいしいミントティーだった。

「おいしい。アッシュさん、お茶を淹れるの上手なんですね」

「祖母が好きだったから、よく淹れさせられていたんだ」

「おばあさまがいらっしゃったんですね。そういえば、うちのおばあちゃんも緑茶が好きだったから、私も小さいころは緑茶ばかり飲んでいたなあ」

「リョクチャ……?」

「えっと、私の生まれた国にあったお茶なんですけれど、緑色をしているんです。紅茶ほど渋みはなくてすっきりした味わいで……。健康にもいいんですよ」

「ほう……。それは少し興味があるな」

 おばあちゃんの話になったから、一瞬緊張を忘れてなごやかな雰囲気になってしまった。お茶を半分ほど飲んだところで、カップを置く。