ポンコツ女子、異世界でのんびり仕立屋はじめます

「交互にしましょうか。それとも三人で?」

「いいわね、そうしましょう」

 ふたりがかりで抑えつけながら、ふたりのクラレットは私の上で物騒な相談をしている。

「大丈夫、痛いことはしないから」

「そうそう、紳士だし」

「淑女だから」

 クラレットがふたりいると、迫力は二倍どころじゃないことに気付いた。そして厄介さはもはや計算できない。

「こんなのおかしいよ! 私は女なんだよ? クラレットの心は女性なんでしょ?」

 もはや理性に訴えかけるしかない、と思って冷静にツッコんでみたけれど、クラレットは首をかしげた。

「今のあなたは男じゃない」

「え?」

 顔を横に向けて自分の身体を視界に入れると、タキシードを着ていた。

「それなら問題ないでしょう?」

 問題ありありだ。男装した自分がオネエと男装オネエに襲われるなんて、どんな倒錯した性癖なのだ。

 迫りくるクラレット、かける二。ふたりの顔が、胸と唇にだんだんと近付いていって……。


「こんな新しい扉は、やっぱり、無理――っ!」

 絶叫しながら飛び起きると、ベッドの上だった。

「ま、また、夢……?」

 久しぶりにいやらしい夢を見てしまった。しかも、クラレットとの。罪悪感で胸がズキズキ痛む。

 なんというか、親しい女友達を夢の中で辱めてしまったような、そんな気持ちだった。

 ごめんなさい、クラレット。しかもちょっとドキドキしてしまっただなんて、合わせる顔がない。

 きっと昨日は疲れていたからだ。しかも、クラレットがあんな悪ふざけをするから。自分が欲求不満なわけでは決してない、と思いたい。