「……いいわよ、そんなの。もうこの恰好で来ちゃったんだし、今更……」
「元彼に、誤解されたままでいいの?」
うつむいたまま「仕方ないじゃない」とつぶやくクラレット。こんなに聞き分けがいいなんて、ぜんぜんクラレットらしくない。
「私は嫌だよ、誤解されたままなの」
「そりゃ私と恋人同士なんて嫌だろうけど、今日しか会わない人なんだから我慢してよ」
「嫌なのはそんな理由じゃないよ。クラレットは、真剣に好きだったのに、そうでもないみたいに思われるのって、むかつかないの?」
「それは……」
口ごもるクラレットをよそに、私だけヒートアップしていく。
「言われなきゃわからないって言うけれど、なんにも言わずに別れるって決めたのはそっちじゃん! なんでこっちの気持ちまで相手に決められなきゃならないのよっ!」
はあはあと肩で息をしている私を、クラレットが呆気にとられて見ている。
「……なんでケイトが私の別れ方まで知っているの?」
「いや、なんとなく、そうかなって……」
最後の台詞は、完全に私怨だった。でも、クラレットも一方的に振られたのだと知って胸が痛くなる。さっきの元彼とのやりとりを見ていたら、なんとなくわかることだったけれど。
「俺じゃなくても良かったんだろとか、何もわかってないよ……。そう思って自分が被害者になりたいだけじゃん……。クラレットは今でもこんなにつらそうなのに」
「ドレスを着たからって、事態が変わるわけじゃないでしょ。もう向こうには恋人がいるんだから」
「そうだよ、変わらないよ。でも、あの人のためにドレスを着て、あの人のために綺麗になったクラレットを見たら、本当の気持ちに気付いてくれるんじゃないかって思って……」
「都合よく考えすぎよ」
クラレットが、力なくつぶやく。
その通りだ。都合よく考えて、クラレットを使って自分の気持ちを清算したいだけなのかもしれない。ここまで連れてきたのだって、私のわがままだった。
「ごめん……。やっぱり、やめておこうか」
申し訳なくなってうつむくと、頭の上にぽんと手が乗せられた。
「誰がやめるなんて言った?」
「え?」
「あなたがしつこすぎるから、やる気になっちゃったじゃない」
顔をあげると、クラレットは「しょうがないわね」というふうに笑っていた。
「最後の夜くらい、私の美貌を見せつけて、惜しいことをしたって思わせるのもいいかもね。それくらい、許されるでしょう?」
クラレットが、タキシードをばさっと脱いでウインクする。
「もちろんだよ!」
男性と女性の狭間でのウインクは、あやうくて、とても色っぽかった。
「元彼に、誤解されたままでいいの?」
うつむいたまま「仕方ないじゃない」とつぶやくクラレット。こんなに聞き分けがいいなんて、ぜんぜんクラレットらしくない。
「私は嫌だよ、誤解されたままなの」
「そりゃ私と恋人同士なんて嫌だろうけど、今日しか会わない人なんだから我慢してよ」
「嫌なのはそんな理由じゃないよ。クラレットは、真剣に好きだったのに、そうでもないみたいに思われるのって、むかつかないの?」
「それは……」
口ごもるクラレットをよそに、私だけヒートアップしていく。
「言われなきゃわからないって言うけれど、なんにも言わずに別れるって決めたのはそっちじゃん! なんでこっちの気持ちまで相手に決められなきゃならないのよっ!」
はあはあと肩で息をしている私を、クラレットが呆気にとられて見ている。
「……なんでケイトが私の別れ方まで知っているの?」
「いや、なんとなく、そうかなって……」
最後の台詞は、完全に私怨だった。でも、クラレットも一方的に振られたのだと知って胸が痛くなる。さっきの元彼とのやりとりを見ていたら、なんとなくわかることだったけれど。
「俺じゃなくても良かったんだろとか、何もわかってないよ……。そう思って自分が被害者になりたいだけじゃん……。クラレットは今でもこんなにつらそうなのに」
「ドレスを着たからって、事態が変わるわけじゃないでしょ。もう向こうには恋人がいるんだから」
「そうだよ、変わらないよ。でも、あの人のためにドレスを着て、あの人のために綺麗になったクラレットを見たら、本当の気持ちに気付いてくれるんじゃないかって思って……」
「都合よく考えすぎよ」
クラレットが、力なくつぶやく。
その通りだ。都合よく考えて、クラレットを使って自分の気持ちを清算したいだけなのかもしれない。ここまで連れてきたのだって、私のわがままだった。
「ごめん……。やっぱり、やめておこうか」
申し訳なくなってうつむくと、頭の上にぽんと手が乗せられた。
「誰がやめるなんて言った?」
「え?」
「あなたがしつこすぎるから、やる気になっちゃったじゃない」
顔をあげると、クラレットは「しょうがないわね」というふうに笑っていた。
「最後の夜くらい、私の美貌を見せつけて、惜しいことをしたって思わせるのもいいかもね。それくらい、許されるでしょう?」
クラレットが、タキシードをばさっと脱いでウインクする。
「もちろんだよ!」
男性と女性の狭間でのウインクは、あやうくて、とても色っぽかった。



