「……あら? なんだか顔色が良く見えるわ。青系の色は似合わないと思っていたのに」
エリザベスさまの表情が、ぱあっと明るくなる。
「色味を選べば大丈夫ですよ。くすんだ色より、明るくて澄んだ色を選んでみてください。このあたりもお似合いだと思います」
「あら、ほんと。さっきのと迷ってしまうわ」
布見本を合わせながらきゃっきゃとはしゃぐ私たちを、クラレットは信じられないような顔で見ている。
「あなた、新しい売り子さん? 気に入ったわ、次もまた見てくれないかしら。今度はデザインを決めるのよ」
「いえあの、私は……」
嬉しそうな顔で私の手を握るエリザベスさまを見ていたら、申し訳なくてなかなか本当のことが言えなかった。
有栖川さまと店長の言葉が、頭の中でリフレインする。
――うぬぼれるな。エリザベスさまはこの店が好きなだけだし、私はここの従業員ですらない。
「すみません、実は」
意を決してエリザベスさまと向き合った、そのとき……。
「エリザベスさま」
私の声を遮るように、アッシュの声が頭上から響いた。
エリザベスさまの表情が、ぱあっと明るくなる。
「色味を選べば大丈夫ですよ。くすんだ色より、明るくて澄んだ色を選んでみてください。このあたりもお似合いだと思います」
「あら、ほんと。さっきのと迷ってしまうわ」
布見本を合わせながらきゃっきゃとはしゃぐ私たちを、クラレットは信じられないような顔で見ている。
「あなた、新しい売り子さん? 気に入ったわ、次もまた見てくれないかしら。今度はデザインを決めるのよ」
「いえあの、私は……」
嬉しそうな顔で私の手を握るエリザベスさまを見ていたら、申し訳なくてなかなか本当のことが言えなかった。
有栖川さまと店長の言葉が、頭の中でリフレインする。
――うぬぼれるな。エリザベスさまはこの店が好きなだけだし、私はここの従業員ですらない。
「すみません、実は」
意を決してエリザベスさまと向き合った、そのとき……。
「エリザベスさま」
私の声を遮るように、アッシュの声が頭上から響いた。



