「おばあさまからいろいろと、この世界のことを学んだんだ。洋服、というものにもだいぶ詳しくなったし、たいていのものは作れるようになった」

「すごい」

 アッシュのセンスで現代日本の服を作ったらどんなものができるのか、わくわくする。今までにないテイストの新しいブランドができるんじゃないだろうか。

「最初は店舗を借りる資金もないから、ネットショップ、というものから始めるといいそうだ。店の名前はケイトに決めてもらえと言われたが、何かいい案はあるか?」

「そうですね……」

 ちいさいころ、おばあちゃんとしていた秘密の空想。

 世界中のすてきなお洋服を集めた、魔法のクローゼットがあったらいいねって。

 そうしたら、こんなお洋服を置こう、お姫さまみたいなドレスも欲しいねって、お絵かき帳にクレヨンで落書きをしていた。

 それは子どもの他愛もない遊びだったけれど、もし本当にそんなお店が作れたら。

 ううん、きっとアッシュとだったら作れると思う。きらきらした女の子の夢と、可愛くなりたい気持ちがつまった、魔法のクローゼットのようなお店が。

「Magic-Closetはどうでしょう。魔法のクローゼットっていう意味なんですけど……」

 私の言葉にアッシュは、

「それ以上の名前は思いつかない」

 と微笑んでくれた。