「ちょっと待って」
ウォルがぱん、と手を叩いて、私たちはハッと我に返った。こんなに大勢の人が見ている前で、ラブロマンスを繰り広げてしまったなんて……。
大勢いた女性たちは、私たちを見ないように気を遣って、そそくさとホールを出て行こうとしている。うぅ、申し訳ない。
「せっかくいい雰囲気のところ悪いけれど、アッシュはさっき、ケイトをもとの世界に帰すつもりだと言ったよね」
ウォルの的確なツッコミに、私も「そういえばそうだった」と気付いてアッシュを見上げる。大事なことを忘れて舞い上がってしまったが、これからどうしたらいいのだろう。
もとの世界にも戻りたいけれど、アッシュとも一緒にいたい、なんて、そんなわがまま通じるわけが……。
「はい。もとの世界には帰しますが、ケイトと婚約もします」
「えっ!?」
私の気持ちをそのまま読み取ったようなアッシュの答えに、目を丸くしてしまった。
「嫌か?」
「い、嫌じゃないし嬉しいんですけど、どうするんですか? まさか一生異世界どうしで別居ですか?」
そんな超遠距離恋愛、絶対に無理だ。手紙も出せないし、電話だってつながらないんだから。
「そんなことは俺が耐えられない。考えていたことがあるんだ。……ウォルさま。ケイトを転移魔法でこちらから帰すことができるなら、俺を転移魔法でケイトの世界に送ることもできるんじゃないですか?」
「まあ、可能だよね。今までそんな人はいなかったけれど」
「アッシュさん、ま、まさか」
「俺がケイトの世界に行く。そこで結婚しよう」
ぽかんと、口を開けてしまう。
そんなこと今まで考え付かなかった。だってアッシュにはこの世界でのお店があるし、この国の人みんながアッシュを必要としている。そして誰より、クラレットとセピアが。
ウォルがぱん、と手を叩いて、私たちはハッと我に返った。こんなに大勢の人が見ている前で、ラブロマンスを繰り広げてしまったなんて……。
大勢いた女性たちは、私たちを見ないように気を遣って、そそくさとホールを出て行こうとしている。うぅ、申し訳ない。
「せっかくいい雰囲気のところ悪いけれど、アッシュはさっき、ケイトをもとの世界に帰すつもりだと言ったよね」
ウォルの的確なツッコミに、私も「そういえばそうだった」と気付いてアッシュを見上げる。大事なことを忘れて舞い上がってしまったが、これからどうしたらいいのだろう。
もとの世界にも戻りたいけれど、アッシュとも一緒にいたい、なんて、そんなわがまま通じるわけが……。
「はい。もとの世界には帰しますが、ケイトと婚約もします」
「えっ!?」
私の気持ちをそのまま読み取ったようなアッシュの答えに、目を丸くしてしまった。
「嫌か?」
「い、嫌じゃないし嬉しいんですけど、どうするんですか? まさか一生異世界どうしで別居ですか?」
そんな超遠距離恋愛、絶対に無理だ。手紙も出せないし、電話だってつながらないんだから。
「そんなことは俺が耐えられない。考えていたことがあるんだ。……ウォルさま。ケイトを転移魔法でこちらから帰すことができるなら、俺を転移魔法でケイトの世界に送ることもできるんじゃないですか?」
「まあ、可能だよね。今までそんな人はいなかったけれど」
「アッシュさん、ま、まさか」
「俺がケイトの世界に行く。そこで結婚しよう」
ぽかんと、口を開けてしまう。
そんなこと今まで考え付かなかった。だってアッシュにはこの世界でのお店があるし、この国の人みんながアッシュを必要としている。そして誰より、クラレットとセピアが。



