ポンコツ女子、異世界でのんびり仕立屋はじめます

「実は君に初めて会った日、祖母に似ていると思って声をかけたんだ。普段だったら面倒なことに首はつっこまないのに、どうしても放っておけなかった」

 異世界かぶれだったという、おばあさまの話だ。セピアとクラレットだけでなく、アッシュも『似ている』と思ってくれていたんだ。

 私たちが出会うそもそものきっかけは、おばあさまがいたからこそだったんだ。

「それからも君は、予想もつかないことばかり起こしてくれたな。店に新しい風が吹きこむのを感じたし、祖母が亡くなってから初めて、誰かといることが楽しいと思えた」

 おかしいな、どうしてだろう。さっきとは違う種類の涙があふれてくる。それは、嬉しいときに出る涙だ。その理由は、これから告げられるアッシュの言葉が、気持ちが、わかってしまったから。

 だってあなたの声も表情もこんなに一生懸命で、真っ赤になりながらも頑張って言葉を選んでくれていて、そんなのもう、理由はひとつしかない。

「つまりだ。俺はちゃんと、君のことが好きだ。だからプロポーズした。言葉にするのが苦手だから、まとめるのに時間がかかってしまったが……」

「アッシュさん……」

 耳まで赤くなったアッシュの後ろで、ハイタッチしているクラレットとセピアが見える。

「君の気持ちはなんとなくわかっているつもりだが、聞かせて欲しい。俺のことが好きか?」

 涙をぬぐって、アッシュに向き合う。きっと私も涙でぐちゃぐちゃなひどい顔をしているけれど、そんなこともう、どうでもいい。

「好きです。ずっとアッシュさんのことが好きでした。甘い匂いも体質も関係なく、あなたをずっと見続けていたから好きになったんです」

「そうか」

 アッシュが優しい顔で、両手を大きく広げる。私はその広い胸に、思いきり飛び込んだ。

「やっと、言えた。もう離さない」

「私もです。ずっとこうしたかった」

 ぎゅうっと、アッシュの腕の力が強くなる。私も、それに応えるようにアッシュの身体を抱き締める――。