「お待たせしました」
アッシュとセピア、そしてウォルの待つホールに、ドレスを召し替えた五十人の女性たちが並ぶ。
その光景は圧巻だった。五十着一度の注文だからと言って決して手を抜かない、思い思いの趣向を凝らしたドレス。仕立て屋スティルハートの集大成がここにあった。
女性たちはみな一様に、穏やかな笑みを浮かべている。当然だ。こんなに素敵なドレスを着て、怒っていられる女性なんてこの世にいないと思う。
「上出来だ」
「みんな、綺麗だね」
アッシュとセピアが、満足そうに微笑む。
ウォルの目がすっと細くなり「ほぉ……」と感嘆の声を漏らしたのを私は聞き逃さなかった。
「思った以上だ。素直に賛辞を贈るよ。君の祖父に爵位を献上した、我が祖父の判断は間違っていないと思えるよ」
意外と素直に褒めてくれたので、ちょっと驚いた。
「……ありがとうございます」
アッシュの返答にも間があったので、きっと同じ気持ちだったのだろう。
「じゃあ、判定に移ろうか」
ウォルが声色を変えて、女性たちに問いかける。
「この中で、自分のドレスが気に入らなかった者がいたら手をあげて欲しい。私に気を遣わないで正直な判断をしてくれ」
音にならないざわめきが広がったが、しばらく経っても、手をあげる人は誰もいなかった。
私たちの間でも沈黙の時間が流れ、そして――。
「……よし!」
アッシュが聞いたことのないような声を出して、ガッツポーズをしている。
「やったあ!」
セピアはぴょんぴょん飛び上がり、クラレットは私の肩をつかんでゆさゆさと揺すった。
アッシュとセピア、そしてウォルの待つホールに、ドレスを召し替えた五十人の女性たちが並ぶ。
その光景は圧巻だった。五十着一度の注文だからと言って決して手を抜かない、思い思いの趣向を凝らしたドレス。仕立て屋スティルハートの集大成がここにあった。
女性たちはみな一様に、穏やかな笑みを浮かべている。当然だ。こんなに素敵なドレスを着て、怒っていられる女性なんてこの世にいないと思う。
「上出来だ」
「みんな、綺麗だね」
アッシュとセピアが、満足そうに微笑む。
ウォルの目がすっと細くなり「ほぉ……」と感嘆の声を漏らしたのを私は聞き逃さなかった。
「思った以上だ。素直に賛辞を贈るよ。君の祖父に爵位を献上した、我が祖父の判断は間違っていないと思えるよ」
意外と素直に褒めてくれたので、ちょっと驚いた。
「……ありがとうございます」
アッシュの返答にも間があったので、きっと同じ気持ちだったのだろう。
「じゃあ、判定に移ろうか」
ウォルが声色を変えて、女性たちに問いかける。
「この中で、自分のドレスが気に入らなかった者がいたら手をあげて欲しい。私に気を遣わないで正直な判断をしてくれ」
音にならないざわめきが広がったが、しばらく経っても、手をあげる人は誰もいなかった。
私たちの間でも沈黙の時間が流れ、そして――。
「……よし!」
アッシュが聞いたことのないような声を出して、ガッツポーズをしている。
「やったあ!」
セピアはぴょんぴょん飛び上がり、クラレットは私の肩をつかんでゆさゆさと揺すった。



