「第二王子からの、書状でございます」
そう言って私に手紙を押し付けると、何かを尋ねる前に去って行ってしまった。メイドといい黒服といい、ウォルの身の回りの人たちはサイボーグみたいだ。
「ちょ、ちょっと。勝負の内容が書いてあるんじゃないの? 早く開けてちょうだい」
「わ、わかってるよ。手が震えて封が開かない……っ」
「まだるっこしいわね。貸してちょうだい」
蝋で封された手紙を開けようと四苦八苦していると、クラレットは取り上げた封筒の側面を思いっきりびりびりと破いた。
「ああっ、そんな雑に開けちゃまずいんじゃ」
「見たくもない手紙なんて、これでじゅうぶんよ。さて、何て書いてあるのかしら」
ふたりで顔を寄せ合って中身を凝視する。ウォルからの書状の内容は、こんな感じだった。
【仕立て屋スティルハート アッシュ・スティルハートさま
ケイトから勝負の話は伝わっているかな。
その内容を決めたから送らせてもらうよ。
君には、王族の女性五十人、全員ぶんのドレスを作ってもらう。
名簿を同封しておくが、全員舞踏会の会場にいた女性たちだよ。君ならもちろん、全員の特徴を覚えているよね?
全員がドレスを気に入ったら君の勝ち、一人でも気に入らなかったら君の負けだ。
期限は一週間。
一週間後に、ドレスを持って王宮まで来て欲しい。
もし間に合わなかったら、その時点でケイトは私の好きにさせてもらうよ。
フリルテリア国第二王子 ウォルナット・フリルテリア】
そう言って私に手紙を押し付けると、何かを尋ねる前に去って行ってしまった。メイドといい黒服といい、ウォルの身の回りの人たちはサイボーグみたいだ。
「ちょ、ちょっと。勝負の内容が書いてあるんじゃないの? 早く開けてちょうだい」
「わ、わかってるよ。手が震えて封が開かない……っ」
「まだるっこしいわね。貸してちょうだい」
蝋で封された手紙を開けようと四苦八苦していると、クラレットは取り上げた封筒の側面を思いっきりびりびりと破いた。
「ああっ、そんな雑に開けちゃまずいんじゃ」
「見たくもない手紙なんて、これでじゅうぶんよ。さて、何て書いてあるのかしら」
ふたりで顔を寄せ合って中身を凝視する。ウォルからの書状の内容は、こんな感じだった。
【仕立て屋スティルハート アッシュ・スティルハートさま
ケイトから勝負の話は伝わっているかな。
その内容を決めたから送らせてもらうよ。
君には、王族の女性五十人、全員ぶんのドレスを作ってもらう。
名簿を同封しておくが、全員舞踏会の会場にいた女性たちだよ。君ならもちろん、全員の特徴を覚えているよね?
全員がドレスを気に入ったら君の勝ち、一人でも気に入らなかったら君の負けだ。
期限は一週間。
一週間後に、ドレスを持って王宮まで来て欲しい。
もし間に合わなかったら、その時点でケイトは私の好きにさせてもらうよ。
フリルテリア国第二王子 ウォルナット・フリルテリア】



