「いやあ、本当に暑いですねえ。ケイトさんの世界でも、夏はこのくらい暑いのですか?」
役人さんと並んで歩道を歩く。もとの世界よりも澄んでいるような気がする、夏の陽射しをひしひしと感じていた。
「気温的には同じくらいでしょうか。でも、私の住んでいた国は湿度が高かったので、夏はだいぶ蒸し暑かったですね。この世界のほうが、空気がからっとしているぶん過ごしやすいです」
ビル熱もないし、コンクリートの照り返しもないし、お店にこもっているより外にいたほうが涼しいくらいだ。
「あの、どこに向かっているんですか? 馬車には乗らないんですか?」
辻馬車が通りがかったのに役人さんが拾おうとしないので訊いてみたのだが。
「ああ、とりあえず役場に行ってからと思いまして。経費削減のため、徒歩でのご協力をお願いします」
と有無を言わさないビジネススマイルでお願いされた。歩くんだったら日傘を持って来れば良かったと後悔する。
「わかりました……」
なるべく日陰になるところを選んで歩いていたら、いつの間にかお城の門についていた。王宮舞踏会に行ったときは馬車でお城の扉まで運んでもらったので、歩いて門を通るのも久しぶりだ。
馬車がすれ違えるくらいの頑丈な跳ね橋を渡り、門番の兵士に頭を下げる。そのまま役場に行くのかと思ったのだが、役人さんの足は違う方角に向いていた。
「あの、役場ってこっちですよね。場所が変わったんですか?」
声をかけたのに役人さんはずんずん歩いていってしまう。何かおかしい、と思って走って追いつくと、役人さんは歩きながらトイレを我慢しているような顔をしていた。
「あの、どうかしたんですか?」
まさか本当にトイレに向かっているのか?と思ったのだが、緊張でこわばった表情で振り向かれた。
役人さんと並んで歩道を歩く。もとの世界よりも澄んでいるような気がする、夏の陽射しをひしひしと感じていた。
「気温的には同じくらいでしょうか。でも、私の住んでいた国は湿度が高かったので、夏はだいぶ蒸し暑かったですね。この世界のほうが、空気がからっとしているぶん過ごしやすいです」
ビル熱もないし、コンクリートの照り返しもないし、お店にこもっているより外にいたほうが涼しいくらいだ。
「あの、どこに向かっているんですか? 馬車には乗らないんですか?」
辻馬車が通りがかったのに役人さんが拾おうとしないので訊いてみたのだが。
「ああ、とりあえず役場に行ってからと思いまして。経費削減のため、徒歩でのご協力をお願いします」
と有無を言わさないビジネススマイルでお願いされた。歩くんだったら日傘を持って来れば良かったと後悔する。
「わかりました……」
なるべく日陰になるところを選んで歩いていたら、いつの間にかお城の門についていた。王宮舞踏会に行ったときは馬車でお城の扉まで運んでもらったので、歩いて門を通るのも久しぶりだ。
馬車がすれ違えるくらいの頑丈な跳ね橋を渡り、門番の兵士に頭を下げる。そのまま役場に行くのかと思ったのだが、役人さんの足は違う方角に向いていた。
「あの、役場ってこっちですよね。場所が変わったんですか?」
声をかけたのに役人さんはずんずん歩いていってしまう。何かおかしい、と思って走って追いつくと、役人さんは歩きながらトイレを我慢しているような顔をしていた。
「あの、どうかしたんですか?」
まさか本当にトイレに向かっているのか?と思ったのだが、緊張でこわばった表情で振り向かれた。



