「次のおふたり、前へお進みください」
開かれた緞帳のそばで名簿を読み上げていた黒服が、私たちを促す。
「行くぞ」
アッシュの腕に自分の腕を絡めて、ぎくしゃくした動きで階段の踊り場に立つ。急に目の前が開けて、眼下にきらびやかなホールが見えて意識が飛びそうになった。呼ばれていった貴族たちの、倍以上の人数がいる。みんな王族なのだろうか。
「仕立て屋スティルハートさまから、アッシュ・スティルハートさま、サクライ・ケイトさま」
黒服の声にあわせてゆっくりお辞儀をする。そのまま、アッシュに合わせて階段を下りていく。
こんなに緊張する数メートルは、結婚式のバージンロードくらいなのではないか。経験したことはないけれども。
「ケイト。もっと俺に体重をかけていい。裾が長いから下りるときに危ない」
「は、はい」
アッシュががっちりと私を支えてくれるので、思ったよりスムーズに下りられた。なにより、歩幅にしてもリズムにしても、私に合わせてくれているのが嬉しかった。
――ちゃんとエスコート、できるんだな。貴族なんだから当たり前なんだけど。
私を置いてすたすたと歩いてしまうアッシュを今まで見ているから、今日はだいぶ無理しているんじゃないかと思うのだが、本人は涼しい顔だ。仕事とプライベートで人格が変わるスイッチでもついているのだろうか。
転ぶのが怖くて足元しか見ていないが、ホールにいる人の視線が私――の着ているドレスとアッシュに集まっているのがわかる。
上品な、でも興奮と興味を隠しきれていないひそひそ話も。
開かれた緞帳のそばで名簿を読み上げていた黒服が、私たちを促す。
「行くぞ」
アッシュの腕に自分の腕を絡めて、ぎくしゃくした動きで階段の踊り場に立つ。急に目の前が開けて、眼下にきらびやかなホールが見えて意識が飛びそうになった。呼ばれていった貴族たちの、倍以上の人数がいる。みんな王族なのだろうか。
「仕立て屋スティルハートさまから、アッシュ・スティルハートさま、サクライ・ケイトさま」
黒服の声にあわせてゆっくりお辞儀をする。そのまま、アッシュに合わせて階段を下りていく。
こんなに緊張する数メートルは、結婚式のバージンロードくらいなのではないか。経験したことはないけれども。
「ケイト。もっと俺に体重をかけていい。裾が長いから下りるときに危ない」
「は、はい」
アッシュががっちりと私を支えてくれるので、思ったよりスムーズに下りられた。なにより、歩幅にしてもリズムにしても、私に合わせてくれているのが嬉しかった。
――ちゃんとエスコート、できるんだな。貴族なんだから当たり前なんだけど。
私を置いてすたすたと歩いてしまうアッシュを今まで見ているから、今日はだいぶ無理しているんじゃないかと思うのだが、本人は涼しい顔だ。仕事とプライベートで人格が変わるスイッチでもついているのだろうか。
転ぶのが怖くて足元しか見ていないが、ホールにいる人の視線が私――の着ているドレスとアッシュに集まっているのがわかる。
上品な、でも興奮と興味を隠しきれていないひそひそ話も。



