ポンコツ女子、異世界でのんびり仕立屋はじめます

「ねえ、そろそろ本題に移ってもいいかしら」

 前菜とスープが空になったころを見計らって、クラレットが姿勢を正す。

「今までにないドレスの案なんだけど、私は、異世界にしかないものを取り入れたらいいと思ったの。デザインもそうだけど、生地とか模様とかも違っていそうじゃない」

「そうだな。ケイトの世界ではドレスはどうだったんだ?」

「ドレスっていうと、もっと丈が短くて袖のない、シンプルなものが多かったですね。結婚式に招待されたときくらいしか、庶民に着る機会はありませんでしたけど。あとは、正装って意味合いだと着物もそうなのかなぁ……」

 成人式に着た振袖を思い出しながら言うと、三人の声が揃った。

「キモノ?」

「民族衣装みたいなもので、こう、まっすぐな柄の生地を身体に巻き付けて帯で締めるの。柄がすごく華やかで綺麗なんだよ」

「どんなの? ちょっと描いてみてよ」

 セピアがスケッチブックと色鉛筆を差し出してくる。絵はそんなに得意ではないのだが、思い出せる限りのパターンをいろいろ描いてみた。

「こんな感じで、赤地に桜の柄があるやつとか……。鶴の柄が大きく入ったものとか……。あとは蝶々とか。ちなみに、着物のデザインはこんな感じ。袖と襟元が特徴的でしょ」

「ふむふむ……。サクラはお花で、ツルは鳥かしら。大きな柄がびっしり入っていて、デザインというより生地が重要な感じなのね」

「そうそう。形はみんな一緒だから、柄で個性を出す感じ」

「柄で、か……」

 アッシュが眉を寄せながらスケッチブックをじっと見る。