ポンコツ女子、異世界でのんびり仕立屋はじめます

 お店を閉めるころには、テーブルに並べた料理からおいしそうな匂いが漂ってきていた。

 手軽につまめる、小さいサイズのサンドイッチ。山盛りのローストビーフに、マッシュポテトを添えたもの。春野菜と豆のシチュー。ハーブがたくさん入った、鶏肉とじゃがいものトマト煮込み。クリームたっぷりのチョコレートケーキ。

 スープは緑・白・赤・黄色の四種類。たぶん枝豆のスープ、ビシソワーズ、ミネストローネ、コーンスープ。ぐるぐるっと渦を巻くように垂らしてあるクリームがまた、食欲をそそる。

「おいしそう……」

 つばをごくんと飲みこんでからそうつぶやくと。

「ケイトも一緒に食べるって話したら、ローズがメニューを選んでくれたんだ。ケイトのこと気に入ってるみたいだね」

 と、セピアくんが嬉しそうに教えてくれた。

「そうなんだ」

 そっけなく返したけど、顔がにやけてしまいそうだ。そこまで親しくなれたなんて、なんだか嬉しい。学生のころ、クラスではじめて仲良しの友達ができたときみたいだ。

「あら、ずいぶんと豪華ね。スープもたくさんあるみたいだし、紅茶は食後のほうが良かったかしら」

 ティーセットを運んできたクラレットが、テーブルいっぱいに載った料理を見て考え込む。

「ううん、喉がかわいていたから嬉しい。ありがとう」

「そう? じゃあお料理の隙間に並べちゃいましょうか」

 取り皿やカトラリーをあれこれ準備していると、アッシュもやって来た。

「待たせたな。――すごい量だな。食べ切れるのか?」

 テーブルの上を見て、呆れた声を出す。

「大丈夫でしょ。四人分ならこのくらいないと、っておかみさんにも言われたし」

「あ、もし余ったら明日の朝ごはんにしてもいい?」

「いいわよ。あらかじめ取り分けておいたら? このサンドイッチなんてちょうどいいんじゃないかしら」

 四人そろっても、食べ始めながらあれこれ話していると、なかなか本題に進まない。