突き刺すようなつめたい空気も、徐々になごんできた春のはじまり。仕立て屋スティルハートに一通の招待状が届いた。
「これって、王室の紋章じゃないの!」
アッシュが差し出した白い封筒を目にすると、クラレットが血相を変えて叫んだ。
「ああ。今朝郵便受けに入っていた」
「王室への献上品は今まで、従者が直接お店に来て注文していったわよね。正式な書状が届くなんて初めてだけど、何かあったのかしら」
「ま、まさか契約を切られるんじゃ」
落ち着かない様子のクラレットとセピアをよそに、アッシュはいつも通りだった。封筒をテーブルの上に置いたあとは、興味を失ったように紅茶を飲んでいる。
「アッシュはなんでそんなに冷静なのよ。心配じゃないの?」
「そうだよ。僕、怖くてこの封筒を開けたくないよ」
セピアは封筒をこわごわ覗き込んでいる。いくら怖くても、封筒はかみつかないと思うんだけど……。
「だいたい想像はつくからな。この形式の封筒は王室への招待状だ。そしてこの時期にそれが届くとしたら、理由はひとつしかない」
カップを置いて顔をあげたアッシュと目が合い、少しだけ体温があがる。
アッシュに対するおかしな変化はそのままだったが、数か月経てば、それを隠して普通にしていられる技術は身についた。最初のころは無駄に避けてしまっていたが、アッシュのことだからたぶん気付いていないだろう。
「この時期って……。まさか」
考え込んでいたクラレットが、はっと気付いたように顔をあげた。
「ああ。第二王子の誕生日だ。それに伴う王宮舞踏会が、もうすぐあるはずだ」
アッシュの答えを聞いたセピアが、ばっと封筒を取って封を開ける。真剣な顔で中に入っていた手紙を読んでいたが、みるみるうちに目が丸くなっていった。
「これって、王室の紋章じゃないの!」
アッシュが差し出した白い封筒を目にすると、クラレットが血相を変えて叫んだ。
「ああ。今朝郵便受けに入っていた」
「王室への献上品は今まで、従者が直接お店に来て注文していったわよね。正式な書状が届くなんて初めてだけど、何かあったのかしら」
「ま、まさか契約を切られるんじゃ」
落ち着かない様子のクラレットとセピアをよそに、アッシュはいつも通りだった。封筒をテーブルの上に置いたあとは、興味を失ったように紅茶を飲んでいる。
「アッシュはなんでそんなに冷静なのよ。心配じゃないの?」
「そうだよ。僕、怖くてこの封筒を開けたくないよ」
セピアは封筒をこわごわ覗き込んでいる。いくら怖くても、封筒はかみつかないと思うんだけど……。
「だいたい想像はつくからな。この形式の封筒は王室への招待状だ。そしてこの時期にそれが届くとしたら、理由はひとつしかない」
カップを置いて顔をあげたアッシュと目が合い、少しだけ体温があがる。
アッシュに対するおかしな変化はそのままだったが、数か月経てば、それを隠して普通にしていられる技術は身についた。最初のころは無駄に避けてしまっていたが、アッシュのことだからたぶん気付いていないだろう。
「この時期って……。まさか」
考え込んでいたクラレットが、はっと気付いたように顔をあげた。
「ああ。第二王子の誕生日だ。それに伴う王宮舞踏会が、もうすぐあるはずだ」
アッシュの答えを聞いたセピアが、ばっと封筒を取って封を開ける。真剣な顔で中に入っていた手紙を読んでいたが、みるみるうちに目が丸くなっていった。



