ポンコツ女子、異世界でのんびり仕立屋はじめます

「じゃ、あとはドレスだね。あのさ、ローズは自分でドレスお直しできる?」

「そりゃあできるよ。サイズを直したり、つくろったり。それができないと庶民はやっていけないって」

 うんざりした口調のローズの言葉を聞きながら、「思ったとおり」と思って頷く。

「それなら、うちに頼むまでもなくリメイクできると思うよ。まず、今のままだとセクシーすぎるから、上半身はもっとゆとりをもたせて。袖は、肩はふくらませずに手首のところをふんわりさせてね。そうすると手首がきゃしゃに見えるでしょ」

「な、なるほど」

「パニエも控えめなものにして、腰からすっと自然に落ちる感じにしてみて。あと、新しくドレスを作るときは濃い色のほうがいいかも」

「濃い色だと派手になりすぎちゃうんじゃないの?」

 鏡の中のローズが、不安そうな顔を見せる。

「その人に似合う色を着ていたほうが違和感が少ないんだよ。ローズの場合は落ち葉みたいな深みのある色かな。深緑とか、マスタードイエローとか、オレンジがかった赤とか。全面に使うとうるさくなっちゃう場合は、白や黒の布地と一緒に使うようにしてみて」

「そうなんだ……。今まできつく見えると思って淡い色ばっか着てたよ」

「私も昔は、似合わないのにモノトーンばっかり着てたりしたよ。自分では合う色って意外と気付けないものだよね。好みとかキャラが先行しちゃって客観的に見れないの」

「ふうん……。どこの世界でも女の悩みって似たようなものなんだね」

「そうだよ。ファッションだけじゃなくて、恋愛や仕事に対してもそう。私を見ていればわかるでしょ?」

 そう言いながら微笑みかけると、ローズはやっとぎこちなく笑ってくれた。この子の笑顔を見たのは初めてかもしれない。