ポンコツ女子、異世界でのんびり仕立屋はじめます

「ねえ、その髪は巻いてるの?」

「そんなめんどくさいことしないよ。地毛なんだ。化粧だって濃くないのに、きつく見られるんだよね」

 くるくるとした金髪の巻き毛も、きつめだけど幼げな顔立ちも、コケティッシュに見えてしまう要因だろう。それが彼女の良さだとは思うけれど、自分を変えたいという気持ちもよくわかる。

「じゃあさ、ちょっといいかな」

 ローズを姿見の前に誘導して、座ってもらう。「な、なにするつもり?」とあたふたしていたが、私がブラシで巻き毛を梳き始めるとおとなしくなった。

「なにこれ。髪がつやつやしてるんだけど」

「オイルをつけてブラッシングすると艶がでるし、巻き毛も落ち着くと思うから自分でもやってみて。あとは……」

 そのままアップにするとショーガールのようになってしまうので、編みこむことにする。頭のてっぺんからぐるっと編み込み、残った髪はみつあみにしてピンでとめる。

「どうかな。ちょっとすっきりさせてみたんだけど」

 鏡に映ったローズの顔は、驚きと喜びで紅潮していた。

 落ち着いた夫人ふうのまとめ髪だけど、ローズがやると適度に品が加えられてちょうどいい。

「なんか、清楚なお嬢さんに見えない……?」

「うん。気が強いけれど聡明な令嬢って感じかな」

「それ、褒めてるんだよね?」

「もちろん」

 くすぐったさと照れが混ざった顔で、ローズが微笑む。