ポンコツ女子、異世界でのんびり仕立屋はじめます

「まあ、とにかく、許してくれてありがとう。……じゃああたし、もう帰ろうかな」

「えっ、ドレスを作りに来てくれたんじゃないの?」

 まだお茶すら飲んでいないのに、まさか謝るためだけにお店に来てくれたのかと驚いた。だとしたら、居心地が悪そうにしていたのも納得だけど。

「だって、ここって貴族が来る高い店なんでしょ? ドレスに興味はあるけど、私じゃ払えないと思うし」

 店の内装をぐるっと見回しながら、ローズは残念そうに肩をすくめた。

 そうなのだ。私は自分が庶民の立場だから、貴族以外のお客さまにも来て欲しいと思っているのだが、クオリティを重視するとどうしても高価になってしまう。

 アッシュは手を抜けるタイプの職人ではないし、お客さまが誰であってもクオリティは下げられないと思うから。

「使ってる生地とかがいいものだから、どうしても値段が張っちゃうんだよね。でも、フルオーダーじゃなくて、持っているドレスのリメイクだったら安くできるんじゃないかな」

「そうなんだ。それなら頼んでみようかな。あたし、この外見だから遊んでるみたいに見えるみたいで、悩んでるんだよね……。セピアくんのときもそうだったし。いいドレスを着たら、ちょっとはお上品に見るのかなって思ったんだ」

 ローズの着ている服は上半身がぴったりしていて、大きな胸を強調している。腰からふわっと広がるデザインなので、おしりも実際より大きく見えていそうだ。

 生成りのエプロンドレスっぽい素朴なデザインも、ローズのようなタイプが着ると『田舎のセクシーなお嬢さん』になってしまう気がする。