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 お正月、というよりは『冬休み』というような雰囲気の休暇が終わり、仕事はじめがやってきた。

 みんなが来る前に掃除と暖炉の準備も終え、お茶を淹れる用意も整えて、ソファスペースをうろうろ、そわそわしながら待っていた。

「ふだん着るには華やかすぎるかな」と思っていたコーラルピンクのドレスを着たし、ヘアメイクにもいつもより時間をかけたし、「これじゃ、新学期に久々に好きな人と会う中学生じゃないか!」と自分で自分につっこんでしまう。

 こんなに意識してしまうくらい、早く会いたいと思ってしまうくらい、あの新年の贈り物は私の中で大きくなっていた。

 もちろん今も肩の上にかかっているそれは、あったかくて少しくすぐったい。

 カランカラン、というドアベルの音がして、三人がお店に入ってくる気配がする。

 途端に気持ちが浮き上がったことに、自分で驚いていた。

「ケイト! 久しぶり~、会いたかったよ!」

 まず、セピアが私のところまで駆け寄ってくる。

「久しぶり……。うん、私も、みんなに会いたかったよ……」

 セピアが手を握ってぶんぶん振るのを拒まずに言ったら、目玉が落ちてしまうのではないかと思うくらい大きく目を見開かれた。

「ケイト、どうしたの!? 急にキャラが変わってるよ? また熱でも出たの?」

 セピアが必死な形相で私の肩をゆさゆさ揺する。

「なによ、騒々しいわねえ」

 すでに脱いだケープつきの外套を手で持ちながら、クラレットが現れた。

 クラレットも、今日はブローチに合わせた真紅の華やかなドレスを着ている。ああ、久しぶりの再会で気合いが入ってしまうのは女子的には普通のことなんだな、とちょっと安心した。