ポンコツ女子、異世界でのんびり仕立屋はじめます

「いや、メインはレジンだから問題ないだろう。本当に感謝するよ」

「良かったです。外箱とリボンも用意してあるので、急いでラッピングしてきちゃいますね」

 テーブルの上で、白い箱に赤いリボンをかける。『仕立て屋スティルハート』のカードと造花の薔薇をリボンの下に差し込めば完成。うん、我ながら可愛くできた。

「お待たせしました!」

 やり遂げた気持ちで箱を差し出したのだが、ウォルがなかなか受け取ってくれない。

 どうしたのかと目線を上げた瞬間――。

「ありがとう。……ケイト」

 ウォルが私の手を箱ごと包み込んだ。

「こんなに手が荒れるまで頑張ってくれたんだね。私の前で隠せると思った?」

「いや、その……」

 思ったよりもウォルの手があたたかくて、しかも私よりすべすべだったので、ドキドキと羞恥心で逃げたくなってしまう。

「おおかた、私に気を遣わせないように隠そうと思った、ってとこかな。違う?」

 甘くて低い声で、耳元でささやかれる。少し意地悪な響きがまじっているような気がした。

 小細工がバレてしまったときって、なんでこんなに恥ずかしいんだろう。じっと見つめるウォルの瞳から、顔を逸らしてしまった。

 頬も耳も熱い。頼むからこれ以上、赤くなった顔を凝視しないで欲しい。

「ふふ、困らせてしまってごめんね。じゃあ代金は後日、従者に届けさせるから」

「は、はい」

 手の上がふっと軽くなる。やっとウォルが箱を受け取ってくれたと思ったら、入れ替わりに手のひらに違う箱を載せられた。

「これは……?」

「私からの新年の贈り物だよ。それじゃ、また」

「えっ、あのっ……!」

 私が動き出すよりも先に、ウォルはさっさとお店を出て行ってしまった。

 そういえば今日のウォルは外套を着ていない。まさか、私が贈り物を突き返す間を与えないために、あえて寒い恰好で……?

「いやいや、まさかね」

 単に、あの衣装がすごく暖かかったんだろう。そういうことにしておこう。