ポンコツ女子、異世界でのんびり仕立屋はじめます

「ええと……。お休みをくださったり、いろいろ……」

 しどろもどろで説明する私を、不審な表情でアッシュが見ている。

「当然のことだろう。それより、俺よりセピアが心配していたのだから、顔を見せてやれ」

「はい、もちろん。あの、セピアくんは……?」

「一緒に来たのだが、ケイトに会うのが気まずいと言って作業室にこもってしまった」

「気まずいって……」

 私が一瞬むっとしたのに気付いて、アッシュが「どうした」とたずねた。

「いえ、気まずいのは私も同じなのにって思っただけです。お互いが気まずいなら、避けるより早く顔を合わせちゃったほうがいいのに」

 私は自分が風邪を引いたほうだから、そう思えるのかもしれないけれど。

「ケイトらしいな。でもセピアはセピアでここ数日頑張っていたんだ。許してやってくれないか」

 アッシュの口ぶりは、兄というより保護者みたいだった。歳の離れた兄弟だからだろうか。

「頑張っていた、って……?」

「それはセピアに訊いてくれ」

 アッシュはそう言ったきり、紅茶の続きを飲むことに集中してしまったので、私は返事をあきらめて作業室に行くことにした。

 近くにあるのに、普段は足を踏み入れることのない木の扉。コンコン、とノックをすると、扉の向こうで聞こえていた作業音がぴたりと止んだ。

「セピアくん。入っていいかな?」

「うん、大丈夫」

 厚い木の板を隔てたせいで、くぐもった声のセピアの返事が返ってくる。

 どんな顔で会ったらいいのか、ひと言めに何て声をかけたらいいのか一瞬迷ったけれど、「いいや、成り行きに任せよう」と決めて扉を開けた。