ポンコツ女子、異世界でのんびり仕立屋はじめます

「寝る……。なんだか身体が熱くなってきたし」

 枕に頭をうずめると、クラレットがあわてて水差しを持ってきた。上半身だけ起こされ、紙に包まれた粉薬のようなものを渡される。

「横になる前に薬だけ飲んじゃってちょうだい。あと、お昼と夕方も一応様子を見に来るから、おとなしく寝ていなさいね」

 異世界の薬、と思うと身体に合うのか少し不安だったが、一気に口の中に入れて水で流し込んだ。

「うっ、苦い……」

「大人なんだから、子どもみたいな反応するんじゃないの」

「だって、もとの世界ではここまで苦くなかったし、錠剤が多かったんだもの……」

 クラレットは、再び横になった私のおでこの上におしぼりを置いてくれた。ひんやりして気持ちいい。

「熱があるときにする話じゃなかったわね、ごめん。今は何も考えずに治すことだけ考えて」

 使った食器をキッチンで洗うと、バスケットにもとどおり詰めてクラレットは一階に降りて行ってしまった。

 火照った身体で熱い息を吐きながら、まぶたを閉じる。

 クラレットが去ったあとの部屋はしーんとしていて、いつも一人でいるのが当たり前なのに、なぜだか少しさびしかった。