ポンコツ女子、異世界でのんびり仕立屋はじめます

「素敵なおばあさまだったんだね……。どんな人だったの? お茶が好きだったっていうのはアッシュさんから聞いたことがあるけれど」

「異世界が大好きで、異世界について書かれた本を集めていたわね。異世界人が着ているような服を真似して作らせて、いつも珍妙な格好をしていたわ。センスはあるから、そんな恰好をしていてもみんな受け入れていたけれど。なんというか、“変わっている”を通り越して個性的すぎる人だったわね」

 クラレットが思い出すように言うと、私を見て懐かしむような顔をした。

「どことなく似ているのよね、ケイトに」

「私に?」

「珍妙な格好もそうだけど、気の強いところとか、まっすぐで融通がきかないところとか。全体的な雰囲気っていうのかしらね……」

 みんなが慕っていたおばあさまに似ているなんて光栄なことなのだが、ちょっと複雑な気持ちになった。それってつまり私が変わってるってことなのでは。

 しかし、そこまで考えてはっと気付いたことがあった。

「……もしかして、セピアくんが私を好きな理由って」

「祖母の面影を追い求めているからだと思うわ。私やアッシュが語って聞かせてあげた祖母の武勇伝に、セピアは理想の女性像を当てはめていたんでしょうね」

 ああ、やっぱりと思う。セピアが『年上が好き』と言っていたことや、食事に誘われたときに『優しいお姉さんに甘やかしてほしい』と言っていたこと。『優しくなくてもケイトがいい』という台詞にも、すべて説明がつく。

「あの子がいろんな女性と遊ぶのは、愛情が欲しかったからだと思うわ。いちばん欲しいものは祖母と両親からの愛情だったのに、それに気付かないから短いお付き合いばかり繰り返すことになっていたのよ。駄目な子ね」

 口調は叱っているのに、その表情はセピアへの愛情にあふれていた。セピアのことがちょっぴりうらやましくなる。私はひとりっ子だから、クラレットみたいな姉が欲しかった。