ポンコツ女子、異世界でのんびり仕立屋はじめます

「だって……。どうしていきなり私に本気になったのかって聞いても答えられなかったし。今までと同じような、大勢いるガールフレンドの中の一人にしたいのかなって思うじゃない」

「……我が弟ながら、不憫で泣けてきそう」

 なぜか私が悪者扱いされている。クラレットにじっとりした視線を送られ、ハンカチで涙をぬぐう真似をされた。

「さっきはセピアくんのせいだから気にするなって言ったじゃない」

「それはケイトが風邪を引いたことに関してよ。前提として、セピアは私の弟だから、そっちの肩を持ってしまうのは許して欲しいんだけど……。あの子が答えられなかったのは、きっと恥ずかしかったからだと思うわよ」

「恥ずかしかったから……?」

 促すような私の言葉を無視して、クラレットはシチューの器をサイドテーブルに置いた。入れ替わりに紅茶のカップを渡してくれる。

「生姜と蜂蜜入りの紅茶よ。飲みながら聞いてちょうだい」

 クラレットが“弟を心配する姉”の表情をしていたので、何も言わずに従った。ジンジャーティーが胃に落ちると、身体がぽかぽかしてくる。

 寒気はすっかりおさまったので、熱は上がりきったのだろう。クラレットの適切な看病には感謝しかない。

「あの子はね、両親の愛情をもらえずに育ってしまったのよ」

 椅子に腰かけ、肩にかけていたショールを膝に落として、クラレットがぽつぽつと話し始める。