「おいしい。これ、クラレットが作ったの?」
具だくさんのミルクスープは、この世界に来てから食べたものでいちばんおいしかった。いやむしろ、現代でもこの味はなかなか出せないかも。便利な顆粒だしも揃っていない時代なのに、優秀な料理人は腕がちがうんだなあ。
「まさか。うちのメイドよ」
ベッドのそばに椅子を持ってきたクラレットが、サイドテーブルに茶器を置きながら答える。
「め、メイドがいるの? まさか執事とかもいたりする?」
「いちおうね。メイドも執事も必要最低限だけど。これでも貴族の端くれだから、体裁とかもあって面倒なのよね。お店では自分でお茶も淹れるし、料理だって本当は嫌いじゃないんだけど」
クラレットはお客さまがいない時間帯は積極的に掃除をしたり、茶器を磨いたり、家事全般がきっと好きなんだろなと思っていた。家の中でもクラレットが家事の実権を握っているんだろうなと思っていたので、その言葉は意外だった。
「そうなんだ。貴族は貴族で不自由なところがあるんだね」
「そうよお。話を聞いていると、あなたの世界はだいぶ自由でうらやましいわ」
「う~ん。そうだと思ってたけど、あんまり変わらないかも。特に私みたいな人間だとどっちにいても同じような人生っていうか……。恋愛も結局ややこしくなっちゃう運命みたいだし」
自分は望んでないのに、勝手に複雑な人間関係に放り込まれてしまうのはどうしてなのだろう。自分と好きな人だけ、それで恋愛は完結するはずなのに、なぜだかいつも第三者が混ざって自分は置いてけぼりになる。
「やっぱり、セピアのこと気にしてるんじゃない」
「気にしてるっていうか……。さすがにちょっとびっくりしただけで」
クラレットが一緒に持ってきてくれたバゲットを、スープに浸して頬張る。
「泥棒猫、って言われながら水をかけられたんですって?」
クラレットの言葉に、口の中のスープを吹き出しそうになってしまった。
具だくさんのミルクスープは、この世界に来てから食べたものでいちばんおいしかった。いやむしろ、現代でもこの味はなかなか出せないかも。便利な顆粒だしも揃っていない時代なのに、優秀な料理人は腕がちがうんだなあ。
「まさか。うちのメイドよ」
ベッドのそばに椅子を持ってきたクラレットが、サイドテーブルに茶器を置きながら答える。
「め、メイドがいるの? まさか執事とかもいたりする?」
「いちおうね。メイドも執事も必要最低限だけど。これでも貴族の端くれだから、体裁とかもあって面倒なのよね。お店では自分でお茶も淹れるし、料理だって本当は嫌いじゃないんだけど」
クラレットはお客さまがいない時間帯は積極的に掃除をしたり、茶器を磨いたり、家事全般がきっと好きなんだろなと思っていた。家の中でもクラレットが家事の実権を握っているんだろうなと思っていたので、その言葉は意外だった。
「そうなんだ。貴族は貴族で不自由なところがあるんだね」
「そうよお。話を聞いていると、あなたの世界はだいぶ自由でうらやましいわ」
「う~ん。そうだと思ってたけど、あんまり変わらないかも。特に私みたいな人間だとどっちにいても同じような人生っていうか……。恋愛も結局ややこしくなっちゃう運命みたいだし」
自分は望んでないのに、勝手に複雑な人間関係に放り込まれてしまうのはどうしてなのだろう。自分と好きな人だけ、それで恋愛は完結するはずなのに、なぜだかいつも第三者が混ざって自分は置いてけぼりになる。
「やっぱり、セピアのこと気にしてるんじゃない」
「気にしてるっていうか……。さすがにちょっとびっくりしただけで」
クラレットが一緒に持ってきてくれたバゲットを、スープに浸して頬張る。
「泥棒猫、って言われながら水をかけられたんですって?」
クラレットの言葉に、口の中のスープを吹き出しそうになってしまった。



