「ケイト、お邪魔するわよ。――ってあなた、どうしたの!」
ドアを開けて入ってきたクラレットの姿を見た瞬間、なぜだかすごくほっとして、視界がじわっと滲んでしまった。
「ちょっと、顔真っ赤じゃない! すごい熱! ああもう、起き上がらないで、横になってなさい!」
額に手を当てられ、毛布をめくられ、すぐさまベッドの中に戻される。
「クラレット、お母さんみたい……。大好きぃ……」
ふふふ、と笑ってつぶやくと、クラレットが不気味なものでも目にしたように身体をぶるっと震わせた。
「……あなた大丈夫? 熱で頭もおかしくなってない? まったく、セピアが心配していたから見に来てみれば、案の定ね」
「セピアくんが?」
「自分のせいで具合悪くしてるかもしれないからって。一応、水枕とか薬とかも持ってきたのよ。あと、スープとか」
ずいっと、布のかかったバスケットを見せられる。鼻はつまっているけれど、おいしそうな匂いがほのかに感じられた。
「……ありがとう、クラレット」
「仕方なく、よ! あなたは身よりがないんだから私が世話するしかないじゃない。それに早く治してもらわないとお店も困るし」
「うん。ごめんね、みんなに迷惑かけて」
「事情は軽く聞いたけれど、今回の件はむしろセピアのせいだと思うわ。まあ、ケイトもこっちに来てから働きづめで休暇もとってなかったし、アッシュも責めたりしないだろうから安心して」
人数が足りていない職場だと、病気になって仕事を休んでも責められる。店長からは直接文句を言われたり、他のスタッフからはあからさまに冷たい態度を取られたり。
自分が迷惑かけたのだから仕方ない、と割り切っていたが、私は今、クラレットの言葉にものすごく安心している。
「……ありがとう」
「ちょっと、泣いてるの? 昨夜のこと、そんなにショックだったの?」
「ちがう……」
毛布をひっぱって泣き顔を隠した私の頭を、ぽんぽんと叩いて「スープあたためてくるわね」とクラレットはキッチンに向かってしまった。
ドアを開けて入ってきたクラレットの姿を見た瞬間、なぜだかすごくほっとして、視界がじわっと滲んでしまった。
「ちょっと、顔真っ赤じゃない! すごい熱! ああもう、起き上がらないで、横になってなさい!」
額に手を当てられ、毛布をめくられ、すぐさまベッドの中に戻される。
「クラレット、お母さんみたい……。大好きぃ……」
ふふふ、と笑ってつぶやくと、クラレットが不気味なものでも目にしたように身体をぶるっと震わせた。
「……あなた大丈夫? 熱で頭もおかしくなってない? まったく、セピアが心配していたから見に来てみれば、案の定ね」
「セピアくんが?」
「自分のせいで具合悪くしてるかもしれないからって。一応、水枕とか薬とかも持ってきたのよ。あと、スープとか」
ずいっと、布のかかったバスケットを見せられる。鼻はつまっているけれど、おいしそうな匂いがほのかに感じられた。
「……ありがとう、クラレット」
「仕方なく、よ! あなたは身よりがないんだから私が世話するしかないじゃない。それに早く治してもらわないとお店も困るし」
「うん。ごめんね、みんなに迷惑かけて」
「事情は軽く聞いたけれど、今回の件はむしろセピアのせいだと思うわ。まあ、ケイトもこっちに来てから働きづめで休暇もとってなかったし、アッシュも責めたりしないだろうから安心して」
人数が足りていない職場だと、病気になって仕事を休んでも責められる。店長からは直接文句を言われたり、他のスタッフからはあからさまに冷たい態度を取られたり。
自分が迷惑かけたのだから仕方ない、と割り切っていたが、私は今、クラレットの言葉にものすごく安心している。
「……ありがとう」
「ちょっと、泣いてるの? 昨夜のこと、そんなにショックだったの?」
「ちがう……」
毛布をひっぱって泣き顔を隠した私の頭を、ぽんぽんと叩いて「スープあたためてくるわね」とクラレットはキッチンに向かってしまった。



