ポンコツ女子、異世界でのんびり仕立屋はじめます

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 次の日の朝。目を覚ますと、視界がぐらぐら揺れていた。頭は重くて痛いし、寒気もする。

「ああ~……。風邪だ。間違いなく」

 昨夜は帰ってすぐにお風呂に入ったが、現代日本と違ってお湯を沸かすのにも時間がかかるので、すっかり身体も冷え切ってしまっていた。

「どうしよ……。欠勤の連絡を入れないと」

 携帯電話なんて便利なものはないので、一階に降りて直接伝えないといけない。それには寝間着のままではいけないし、せめて顔くらいは洗わないと……。

「ううう……。しんどい……」

 服を取って来ようと思ったが、身体がふらふらしてベッドの上に座り込んでしまった。思ったよりも熱が高そうだ。

 こんなとき、もとの世界だったら。実家からお母さんが面倒を見に来てくれたり、友達が食べ物や薬を届けに来てくれたっけ。インフルエンザになったときは、元彼がタクシーを呼んでくれて、病院まで付き添ってくれた。

 私ってけっこう、恵まれていたんだな。平凡で、なんてことない人生だと思っていたけれど、こうして離れてみるとありがたみがよくわかる。

 どうしようかとぼんやりしていたら、階段を上る音が聞こえてきた。