「成海、帰るぞ。」

教室の入口で私を誰かが呼ぶ。

振り返ると、やっぱりそこには透矢がいた。

佐々木透矢。私の幼なじみ。

高身長でイケメン。学校で1、2を争うイケメンだと思う。

急いでカバンを持って透矢のもとにかけよる。

「おまたせ。」

「おせーよ。」

なんて言いながら、私の髪の毛をわしゃわしゃと触る。これ、透矢のくせ。

透矢の身長が私よりも大きくなってから、よく触るようになった。

本人は無意識なんだろうけど。


いつもどうりの帰り道をいつもどうり透矢と2人で帰る。

「ねぇ、先輩と帰らなくていいの?」

ずっと最近もやもやしてることを聞く。

「あー、大丈夫。先週くらいに帰ったから。」

胸がざわついて苦しくなって思わず顔をしかめてしまう。