偽恋人からはじまる本気恋愛！～甘美な罠に溺れて～

水城さんは目を細めてふわりと笑顔になり、そうかと思うとキリッと真摯な顔つきに変わった。

「今夜会いたいって言ったのは、実は君に伝えたいことがあったからなんだ」

「伝えたいこと？」

ま、まさか……“本当は優香じゃないんだろ？”とか？　“騙したな”とか？

なにを言われるのかとドキドキしながら何度も唇を濡らして身構えた。思ったよりバレるのが早かった……なんて思っていると。

「俺、君のこと本気だから」

頭に降ってきた言葉が信じられなくて、咄嗟に顔をあげる。真っ直ぐ見つめてくる水城さんの視線とぶつかると、私は逃れられなくなっていた。しばらく見つめ合い、沈黙する。

今、なんて……？

「ごめん、いきなり……。ただ俺の本心を伝えたかっただけなんだ。それに、まだちゃんと言葉にできていないだろう？」

「え……？」

「俺は結婚も視野に入れて君と真剣に付き合いたいと思ってる」

ほんのり照れくさそうに小さく笑う水城さんを見ていると、勘違いしそうになる。頭の中では、これは全部優香への言葉なんだとわかっているのに、まるで私への告白のようで……切なくなる。

「まだ出会ったばかりだし、結婚……なんて言われても困ると思う、だから俺とのこと、少し考えて欲しいんだ。そして、君の気持ちもちゃんと聞かせてくれないか？」

聞けば聞くほど私の顔は真っ赤になり、ゆでだこのようにのぼせてしまう。

ん？　ちょっと待って。

水城さんと優香って恋人同士……なんだよね？

ふと、水城さんの言葉に違和感を覚えた。