「父から写真を見せられたんです。謝恩会のときの、そこには私と水城さんが写っていました。それだけじゃなくて、優香と川野さんが写った写真も……その写真は、それぞれ同時刻に撮られたものでした」

「なんだって?」

それを聞いた水城さんが驚いて私へ向き直る。どんな顔をしていいのかわからなくて、私は俯いたまま視線をあげることができなかった。

「優香の動向を不審に思った父が探偵をつけたみたいなんです。私の所在もそれでわかったって言ってました。写真について説明しろって……だから、私、水城さんとお付き合いしてることを……話してしまったんです」

気を抜いたら声が震えてしまいそうだった。もしかしたら、「どうして喋ったんだ」と怒られるかもしれない。そんな風に思っていると、そっと彼の温かな手が頬に触れた。

「こっち向いて」

そう言われておずおずと水城さんのほうへ顔をあげると、彼が優しく微笑んだ。

「俺と別れろ、ってそう言われたんだろう?」

察しのいい水城さんに、私は言葉を紡ぐことができなかった。それを肯定と取った彼が大きくため息をつく。

「嫌なことを言われて、辛かっただろう? ずっとひとりで抱え込んでたのか? どうしてもっと早く言ってくれなかったんだ」

決して咎めるようなきついものではなく、労わりを含んだ口調に私はくしゃりと顔を歪めた。