「川野君」
しばらく他愛のない話をしていると、新鮮なトマトにモッツァレラチーズとバジルが添えられた、前菜のカプレーゼが運ばれてくる。そして、水城さんが小さく咳払いをして口を開いた。
「シオンを病院に連れて行ってくれたあの日、本当はうちの系列の新商品のプレゼンの予定だったという話は聞いたよ」
「え? おい、優香、言うなって言ったのに……」
川野さんはぎょっと目を丸くした後、横に座ってカプレーゼを堪能している優香の腕を肘で小突いた。
「いいんだ。逆に教えてもらってこちらも助かったし、実は川野君に折り入って頼みがあるんだ」
「頼み、ですか?」
水城さんが改まって言うと、川野さんは食事をする手を止めた。
「ああ、リストランテ・パリメラの秋冬メニューが先日決定になってね、それを宣伝するために提供会社との契約プレゼンが来月予定されてるんだ」
「あ、そのプレゼンの話、うちの会社も参加予定になってます。父がそう言ってました」
優香がナプキンで口を拭って言うと、水城さんが静かに頷いた。
しばらく他愛のない話をしていると、新鮮なトマトにモッツァレラチーズとバジルが添えられた、前菜のカプレーゼが運ばれてくる。そして、水城さんが小さく咳払いをして口を開いた。
「シオンを病院に連れて行ってくれたあの日、本当はうちの系列の新商品のプレゼンの予定だったという話は聞いたよ」
「え? おい、優香、言うなって言ったのに……」
川野さんはぎょっと目を丸くした後、横に座ってカプレーゼを堪能している優香の腕を肘で小突いた。
「いいんだ。逆に教えてもらってこちらも助かったし、実は川野君に折り入って頼みがあるんだ」
「頼み、ですか?」
水城さんが改まって言うと、川野さんは食事をする手を止めた。
「ああ、リストランテ・パリメラの秋冬メニューが先日決定になってね、それを宣伝するために提供会社との契約プレゼンが来月予定されてるんだ」
「あ、そのプレゼンの話、うちの会社も参加予定になってます。父がそう言ってました」
優香がナプキンで口を拭って言うと、水城さんが静かに頷いた。



