偽恋人からはじまる本気恋愛!~甘美な罠に溺れて~

「それに、優香から水城さんと愛美さんの話も聞いてます。僕が不甲斐ないばかりに……迷惑をおかけしたのはこちらのほうですから、あまり気にしないでください」

「え……?」

まさか、そこまで話が通じていると思わなくて運転する川野さんを見る。

じゃあ、お見合いで姉妹が入れ替わって、私が水城さんの偽の恋人役をしていたことも、それで本当に恋人になったことも全部……知ってるんだ。

川野さんは申し訳なさそうにしているけれど、初めこそは厄介な頼まれごとをしたと思っていた。でも、今となっては優香の“偽の婚約者になって”という申し出がなければ、水城さんと付き合うこともできなかったわけで……。

「いえ、今では感謝してるくらいです」

「水城さんは業界一イケメンで仕事もできるし、そつのない人だから……」

「川野さん、水城さんのことご存知なんですか?」

川野さんの意外な発言に私は眉を跳ね上げて目を丸くする。

「はい。確か一年くらい前にプレゼンで会ったことがあるんです。恥ずかしい話ですが、そのときの僕のプレゼンはボロボロで……同業者から笑われました。けど、そのときのクライアントだった水城さんに『プレゼンのコツは~』って色々励ましてもらった覚えがあるんですよ」

「そうだったんですか」