偽恋人からはじまる本気恋愛!~甘美な罠に溺れて~

『え! そうだったの? それで、シオンちゃんは大丈夫なの?』

「今はぐったりしてる様子はないんだけど、ご飯を全然食べてくれなくて……どこか悪いのかも」

すると、優香は電話の向こうでしばらくなにか考えて、動揺しきっている私に言った。

『ちょっと心当たりがあるから、またすぐに折り返すね』

「うん、わかった」

自分は無力だ。

どうすることもできずに、優香からの折り返しの電話を待っていると、数分でまた電話がかかってきた。

「もしもし」

『あ、愛美さん? 川野です』

折り返すと言っていたからてっきり優香かと思いきや、電話の相手は意外な人からで驚いた。

「川野さん?」

川野健太さんは優香の恋人だ。どうして私に電話をしてきたのかと思っていると。

『僕から電話しちゃってすみません、自分が愛美さんに話をするって言ったもんだから……それで、優香から大体の話は聞きました。実は、僕の兄が練馬の方で動物病院を開業してるんです。僕のほうから兄に話をすでにつけてありますから、今からシオンちゃんを連れて行けますか?』

「え……」