笑顔ではあるけれど、ふとした時に肩を落として長い睫毛を伏せる水城さんに、私は気になって尋ねてみた。

「あの、もしかしてなにか困りごとですか? なにか考えてるみたいだから……」

そう言うと、水城さんはそんな表情をしていたのかと小さく苦笑いした。

「実は、イタリアへ出張中にお願いしようと思っていたペットホテルが改装工事に入るらしくて、シオンを預けられなくなったんだ」

ピッチャーからオレンジジュースをグラスに注ぎながら、水城さんはため息をついた。

「そうだったんですか……」

それなら違うホテルを探すことになるけれど、知らないホテルはちょっと心配だよね。シオンちゃんだって戸惑うだろうし。

「二泊三日だから、ハウスキーパーも今回は依頼してないんだ。いきなり来てくれって言っても、空きがなきゃどうしようもないな……」

水城さんはただでさえ忙しい人だ。これから信頼できるホテルを探すのも大変なはず。

「あの、シオンちゃんのこと私に任せてもらえませんか? 生憎私のアパートはペット不可で、うちで預かることはできないんですけど……水城さんさえよければ、せめて朝と夜のご飯をあげに……って思って」

「え?」

困っている水城さんを見ていたら、たまらなくなってそんなことを口にしていた。