偽恋人からはじまる本気恋愛!~甘美な罠に溺れて~

「出張って、どのくらいの頻度で行くんですか?」

「一ヵ月に一度か二度、実は今月末にイタリアでコンクールがあって、その審査員に呼ばれてるんだよ、話さなかったか?」

「いえ、初耳です」

食器を洗い終え、ソファに座っていると水城さんがコーヒーの入ったカップを私に手渡した。

「熱いから気を付けろよ?」

「はい。それにしても審査員なんて、すごいですね」

「二泊三日で久しぶりのイタリアなんだ。けど、シオンには寂しい思いをさせてしまうな。いつも預けているホテルはメールで今日一日どうしてたか画像付きで報告を送ってくれる。だから、安心は安心だけどな……」

イタリアは水城さんにとって第二の故郷みたいなもの、その地で仕事ができるとなると、きっと気合も入るだろう。

でも、シオンちゃんのことは心配だよね……。

ローテーブルにカップを置いてちらりとシオンを見ると、彼女は「なになに?」というように私の膝の上に飛び乗ってきた。