偽恋人からはじまる本気恋愛!~甘美な罠に溺れて~

「あ、すごく甘いですね」

「だろう? 契約農家から新鮮な野菜を取り寄せてるんだ」

なるほど、食材にはやっぱりこだわりがあるんだね。

テンポよく包丁を動かして野菜を切る彼に、思わず見惚れてしまう。

この時間がずっとずっと続けばいいのに……。

棚からお皿を出そうとしたそのとき。

「わっ!」

「危ない!」

さっきまで本棚の上にいたはずのシオンがいきなり私の足元にいて驚く。はずみでつんのめってしまい、私はそのまま水城さんへダイブした。

「大丈夫か?」

「す、すみません!」

逞しい腕に支えられなんとか転ばずに体勢を整える。

「こら、シオン、キッチンには入っちゃだめだって言っただろう? 俺たちが何してるのか気になったのか?」

シオンはニャンと小さく鳴いて、尻尾を振った。

「あーわかった。魚が気になるんだな」

水城さんはピンときたようで鍋の中で煮込まれた魚に目をやる。