偽恋人からはじまる本気恋愛!~甘美な罠に溺れて~

「あ、あの……私、本当に水城さんのマンションに来て平気だったんでしょうか?」

「え? どういうこと?」

「シオンさんが迷惑に思ってたら――」

私は不安になってそう言うと、水城さんが両膝をついてソファの下を覗き込んだ。

「あ、いたいた。おい、お客さんだぞ、そんなところに隠れてないでちゃんと挨拶しろ」

「……え?」

水城さんがソファの下から何かを引っ張り出すようにして、その腕に抱えられたのは……。

「ね、こちゃん?」

予想外にもソファの下から出てきたのは、赤い首輪をした毛並みのよさそうな黒猫だった。

「こいつがシオンだ」

首輪の鈴がチリンと鳴り、“シオン”がじっと私を見て、まるで挨拶するようにニャオとひと鳴きした。

シオンさんって……そっか、猫ちゃんのことだったんだ。あはは、私、てっきり……。

変に勘違いしていた自分が猛烈に恥ずかしい。