偽恋人からはじまる本気恋愛!~甘美な罠に溺れて~

「そんなわざわざ“さん”なんてつけなくてもいい」

「だって、初めてお会いするのにそんな呼び捨てできないですよ」

「あはは、君は律儀だな」

ポンという電子音とともにエレベーターの扉が開く。廊下はまるでホテルのようで、絨毯が敷かれていた。

なんか、すごい緊張してきた! シオンさんになんて挨拶しよう……。

ドキドキしながら一番奥の部屋のドアの前で水城さんがカードキーを通す。

「さ、入って」

「……はい」

背中を軽く押されて、おずおずと中へ入ると中は真っ暗だった。

シオンさん、いるんだよね? 電気点けないのかな……。

玄関で靴を整えてリビングへ入るけれど、誰もいないみたいに人の気配がしない。

「いつも俺が帰宅すると玄関まで出迎えに来るはずなんだ。けど、自分の知らない人が一緒だってわかったみたいだな」

水城さんが部屋の電気を点ける。すると。

ッ!? な、なに? 今、ソファのところを何か黒い塊みたいなのが横切ったような……。

もしかして、水城さん意外の人が来るの毛嫌いする人なのかも、だとしたら悪い事しちゃったな。